性感染症(STD)

女の子
性感染症について詳しく教えてください。
院長
セックスでうつる病気のことを総称して性感染症・STD(Sexually Transmitted Diseases)といいます。かっては性病と呼ばれていましたが、今は感染症のひとつと考えられ、性感染症とよばれるようになりました。近年、性感染症(STD)は増えているといわれます。女性では20代前半、男性では20代後半の年齢層に、性感染症(STD)にかかっている人が最も多くいます。

一口に性感染症(STD)といっても、何種類もの病気が含まれており、症状も様々ですが、ここでは、最近日本で最も多く、女性が感染している性感染症(STD)のトップであるクラミジア感染症と、放置すると死に至るエイズについて話してみましょう。

クラミジア感染症は、クラミジアトラコマティスという病原体が、セックスの際、粘膜の創(きず)から感染します。最初はほとんど無症状か、少しおりものが増えるくらいですが、病原体が膣→子宮→卵管→腹腔と上っていくと腹痛が強くなることもあります。放置しておくと、将来不妊症の原因となることもあります。早く見つけて、抗生物質を使えば治ります。

エイズはHIV(ヒト免疫不全ウィルス)の感染で、社会問題にもなった血友病患者の血液製剤による被害もありますが、多くはHIV感染者とのセックスにより感染します。そのほか、分娩の際の母子感染、日本では少ないのですが麻薬など薬物のまわし打ち(同じ注射器で何人も注射すること)などで感染します。感染しても初期症状が出ない人が殆どです。感染2〜8週間後に発熱やリンパ節の腫れなどの症状が出る人もいますが、かぜに似た症状なので気づかない場合が多くあります。このHIV(ヒト免疫不全ウィルス)は、ヒトの免疫作用を持っているリンパ球に侵入して増殖し、リンパ球を壊してしまうため、免疫力が低下してしまい、健康なヒトなら軽くすむ病気でも重症化(日和見感染)して、生命を落とすことになります。現在では発症を抑える薬も出てきましたので、感染の心配がある人は、なるべく早く検査(保健所で、名前を言わなくても検査してくれます)し、必要なら治療を受けることが大切です。

その他主な性感染症としては、梅毒、淋菌感染症、性器ヘルペス、トリコモナス膣炎、尖形コンジローマなどがあります。




女の子
性感染症(STD)はどんな症状が出てくるの?
院長
前の質問と同様に、色々な病気さまざまな症状があり、一口には言えませんが、クラミジア感染症とHIV感染症以外の主なものを簡単に書いてみましょう。

性器ヘルペス
  単純ヘルペスウィルスに感染して起こり、初感染時は3〜7日間の潜伏期の後、水疱、有痛性の潰瘍を形成。高熱を伴う場合もある。再発時は症状は軽い。

トリコモナス膣炎
  トリコモナス原虫に感染して起こり、外陰部に灼熱感を伴ったかゆみが生じる。悪臭のする黄色いうみのような、水っぽいおりものが増え、プツプツした飛沫を伴うのが特徴。

尖形コンジローマ
  ヒトパピローマウィルスに感染して起こり、性器から肛門にかけて、先のとがった白または薄い紅色にいぼが沢山できる。

梅毒
  トレポネーマ・パリダムという病原体に感染して起こり、症状によって4期に分けられる。1期(感染〜3ヶ月)性器に大豆くらいのしこり。太もものリンパ節が腫れる。2期(3ヶ月〜3年)全身に皮膚、粘膜の発疹が出たり、臓器梅毒の症状が現れる。3期(3〜10年)全身に硬いこぶのようなゴム腫ができる。4期(10年以上)心臓、血管、脳、脊髄などに病変が及び、日常生活に支障をきたす。

淋菌感染症
  淋菌に感染して起りますが、女性は感染しても症状が出ないことが多く、進行すると濃黄色のおりものが出たり、尿道からうみが出て排尿痛を伴ったりする。




女の子
性感染症(STD)はどのように感染していくのですか?
院長
性感染症はセックスなどの性行為により、血液、精液、膣分泌物から病原体に感染して起こります。つまり、セックスをしている人なら誰でもかかる危険性があります。病原体は性器から性器へうつるだけではなく、オーラルセックスで性器から口やのどへ、アナルセックスで肛門にも感染します。




女の子
性感染症(STD)は何であるの?どうして増えてきたの?
院長
ヒトが子孫を残すためには、性本能とセックスが必要ですが、性感染症(STD)はセックスを介して感染する病気ですから、地球上から根絶することは確かに難しいかも知れません。
なぜ、こんなにも増えてきたのでしょうか?その理由の一つとして、以前に比べ複数のパートナーとセックスする男女が増えてきたことがあげられます。しかも性感染症(STD)について無知で、コンドームを使わずにセックスする無防備さも考えられます。また病気によっては症状が現れにくいため、知らないうちに症状がすすんだり、うつしたり、うつされたりしているということもあると思います。




女の子
女の人は男の人から性感染症(STD)を移されると思うんだけど、男の人はなぜ性感染症(STD)になるの?
院長
男→女のケースも、女→男のケースも両方ありますが、いずれにしろ不特定多数の人と無防備な(コンドームを使用しないなど)セックスをすると感染します。
しかしながら、性感染症(STD)は、女性がかかりやすく、リスクが大きいという現実を忘れてはなりません。女性は性器の内側が粘膜でおおわれているため感染しやすく、さらに性器が奥に深い構造なので、知らないうちに奥へ奥へと感染が進んでいることが多いのです。また、卵管などが炎症を起こして不妊症になったり、出産時に赤ちゃんが産道感染してしまう危険性もあり、いったん性感染症(STD)になると、将来にまで影響が及ぶケースも少なくなく、女性が受けるダメージは大きいことを肝に銘じて行動してください。





女の子
どうしたら防げるの?
院長
お互い性感染症(STD)に感染していないパートナーと、ステディな関係を保つのが一番の予防法です。かっては、性感染症(STD)といえば、風俗産業や特別な性癖をもった人々がかかり、普通の人はあまり関係ないと思われていた時代もありましたが、今やごくごく普通の人がかかっている時代です。ですから、不特定多数の人とのセックスにより性感染症(STD)に感染する危険性が大きくなってしまうことがおわかりでしょう。
性感染症を防ぐために、セックスの時は必ずコンドームを使うのが安全です。また、生理中のセックスや、出血を伴うセックスは、性感染症(STD)に感染するリスクが高いので避けるのが無難でしょう。